作品を愛し、ヒットを目指す!アニメ音楽プロデューサーが生きる道

作品を愛し、ヒットを目指す!アニメ音楽プロデューサーが生きる道

営業、販促を経て、アニメ音楽レーベル“P’s Records”のプロデューサーとしてアニメの音楽制作に携わることとなった渡部 直。作品を愛し、ヒットを目指す、努力と信念の人の歩みを辿ります。

衝撃を受けた作品を生んだ会社へ

▲アニメ・映像事業本部アニメプロデュース3部P’s Records 渡部 直。ある作品との出会いがこの仕事につくきっかけに
▲アニメ・映像事業本部アニメプロデュース3部P’s Records 渡部 直。ある作品との出会いがこの仕事につくきっかけに

ポニーキャニオンのアニメ音楽レーベル“P’s Records”のプロデューサーに、若くして抜擢された渡部 直。

「内気だったこともあって、外で遊ぶよりも家でテレビを観たり、ゲームで遊ぶのが好きでした」と子ども時代を振り返る彼は、中学生のときにある作品と出会います。 

渡部

それまでは深夜アニメって、なんとなくコアな人たちに向けたもの、というイメージがあったのですが、『けいおん!』に出会い、ある意味、裏切られました(笑)。楽曲が次々と音楽チャートの上位に食い込み、ゴールデンの音楽番組にも取り上げられて……。もう、社会現象ですよね。『けいおん!』との出会いは僕の人生において衝撃でした。それ以降、高校、大学でバンドを組んで『けいおん!』のコピーをしたり、バンドメンバーの影響でJ-POPや洋楽なんかも少しずつ聴くようになりました。

それから就職活動の時期になり、将来どうしよう?と思いながらアニメを見ていたら 偶然“ポニーキャニオン”という会社名を見つけて(笑)。そういえば『けいおん!』のCDもポニーキャニオンから出てたっけ。と入社試験を受けました。『けいおん!』きっかけではあったものの、いろいろと業界のことなどを調べていくうちにアニメや音楽を仕事にしたい気持ちが強くなり、面接では『自分も誰かの心に訴えかけるような作品に携わりたい』ということを伝えました 

いくつかのレコード会社を受け、最初に内定をもらったのがポニーキャニオン。熱意が通じたのです。入社後、まず配属されたのは営業部でした。

渡部

入社1年目はCDショップの営業を担当しました。新宿・渋谷・池袋など関東圏の店舗には毎週通い、それ以外の店舗には電話とメールでひたすら営業をかけました。ポニーキャニオンは音楽・アニメ・映画などさまざまなジャンルを取り扱っているので、商品のことを自分なりに勉強しつつ、営業をかける。といった感じでした

社会人になって初の仕事にして、都内主要店を含むCDショップの担当といういきなりの大役と多忙な日々。どう乗り越えたのでしょうか。

渡部

正直、不安しかありませんでした(笑)。店舗の方たちは皆さん、僕よりずっと年上でしたし、最初は目を合わせるのも怖かったですね。髪型とか服装も派手だし。とはいえ、逃げ出すわけにもいきませんから、なんでもやります!教えてください!という姿勢でぶつかっていきました。なんというか、もう勢いだけですね。

苦手意識から入ったものの、面と向かって話してみると皆さんとても良い人たちで。気づけば、毎日お店に通うようになりました。自分の知らない音楽のことやオススメのアーティストを教えてもらい、暇さえあれば、お店に行って店員さんと一緒に商品を並べたり。会社にいるよりお店にいる時間の方が長かった気がします。

そうするうちに、お店でポニーキャニオンのコーナーを作っていただいたり、バイヤーさんから『最近、渡部君のオススメ何かある?』みたいな連絡を貰ったりと、非常に良いお付き合いをさせてもらいました。今思えば、入社1年目の時点でお店の人たちの想いや商品がどのようにしてお客さんの手元に届くか知ることができたのは良かったです

ヒット作に関わることで知った、アニメや音楽の持つ力

▲「4年目の異動は社内転職ばりの変化でした」営業→販促そして制作へ、真剣に向き合ったすべてが今につながっている
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入社2年目には、マーケティング部に異動。アニメクリエイティブ本部(当時)が手がける『五等分の花嫁』 や『SSSS.DYNAZENON』といったアニメ作品に加え、声優アーティストなどのセールスプロモーション(販売促進)を2年間担当することになります。 

渡部

営業担当の方々が商品を営業しやすくするための施策を企画し、調整・実行していくのが販促担当者の主な役割です。プロデューサーが決めた作品のブランディングや方向性を理解しつつ、営業に関する部分を仕切る立場となり、より作品やアーティストに近い位置で仕事をさせてもらいました。

立場上、板挟みになることもありますし、複数の案件が同時進行していくため、最初は四苦八苦したのですが、上長や先輩方のサポートもあり、どんどん仕事が楽しくなりました。このとき覚えた仕事の進め方や経験は今でも役立っています

マーケティング部で働いた2年間、転機も訪れました。 

渡部

マーケティング部に着任してすぐの頃、当時の上長から引き継ぐ形で『五等分の花嫁』プロジェクトに参加しました。作品自体のヒットもですが、イベント会場にたくさんの人が足を運んでくださり、喜んでいただいている光景を目の当たりにして、アニメや音楽の持つ力を痛感したんです。そのとき、自分は誇らしい仕事ができているんだな、とあらためて思いました

営業部、マーケティング部での経験を経て、入社4年目で配属されたのはアニメ・映像事業本部 アニメプロデュース3部。アニメ音楽レーベル“P’s Records”のプロデューサーとして、アニメの音楽制作に携わることになります。

渡部

プロデューサーの仕事はずっと憧れだったので、『ついに制作部へきたぞ!』とワクワクした一方、新たな仕事に対する不安もありましたが、営業に配属された時と同じ気持ちで『なんでもやるので仕事教えてください!』と暇さえあれば上長や先輩に同行していました。今思えば、皆さん自分の仕事で忙しいはずなのに、すごく丁寧に仕事を教えていただきました。ほんと、周囲の人に恵まれていますね

プロデューサーとして、担当するプロジェクトの管理はもちろん、アーティストが所属する事務所やアニメの製作委員会と関わり、時間をかけてアーティストや作品と向き合います。

渡部

仕事としては、アニメの音楽プロデューサーとして、主題歌や劇伴(BGM)のプロデュース業務を担当しています。製作委員会の一員として、監督や各社のプロデューサーと相談しながら作品のコンセプトに合ったアーティストやクリエイターの選定を行い、共に音楽を作っていきます。そのほか、アニメ作品自体への出資やP’s Recordsに所属しているアーティストのA&R業務なども担当しています。

ちなみに、最近のアニメ作品は企画時から海外展開を見据えたものが多く、音楽の納期が放送の1年以上前ということが割とありまして(笑)。非常にスピーディーな対応を求められることも多々あるため、常日頃からアーティストやクリエイターとコミュニケーションを取りつつ、それぞれの好みや得意なジャンルを把握した上で、マッチする企画が出てきたらすぐに提案、声掛けをできるよう準備をしていたりもします。

プロジェクトをビジネスとして成立させることが大前提な立場ではありますが、普段から妄想でも良いので企画を考えることが得意だったり、アニメや音楽が好きな人にはピッタリな仕事だと思います。営業のときから思っていましたが、アニメチームのメンバーは本当に熱量が高く、雑談の中から生まれた企画もあったりと、本当に毎日楽しく仕事をさせてもらっています

大事なのは経験を重ねること

▲アニメの音楽はOP・ED・キャラソン・劇伴とその守備範囲は広い。「日々360度アンテナを拡げて情報をインプットしています」
▲アニメの音楽はOP・ED・キャラソン・劇伴とその守備範囲は広い。「日々360度アンテナを拡げて情報をインプットしています」

プロデューサーとして、さまざまな場面で必要な判断力。それはどうやって磨いていけば良いのでしょうか。

渡部

経験を重ねるのが手っ取り早いと思います。とにかく自分の裁量の中で判断をしてみて、それが良かったか、悪かったのか。最終的な結果も含めて自分の中に蓄えていくイメージです。

と言いますのも、以前、僕が仕事で割と大きめなミスをしてしまったときに、すべての元凶である僕はパニックで使い物にならず、先輩方が落ち着いて対応してくださり事なきを得たことがありました(苦笑)。後日よくよく話を聞いてみると、先輩方も過去にそういったことを何度も経験し今に至るということで、それ以降、経験に勝るものはないんだなあと思いながら仕事をしています。

そもそもポニーキャニオンの社風だと思うんですけど、上長や先輩が若手を育てようとしてくれている雰囲気がすごくあって。僕の場合ですと、最初は先輩の仕事を見ながらなんとなく段取りを覚え、次は先輩に付いてもらいながら実際に自分でやり、最後は自分ひとりですべてやる、といった感じで、座学だけではなく、実践ありきで育ててもらいました。そういった意味では、経験を重ねるための環境は整っていると思いますので、上長や先輩が見てくれているうちにどんどん挑戦するのが良いと思います

学生時代のバンド活動で得た経験も音楽制作に携わる上で役に立っていると言います。

渡部

普段の仕事はもちろん、アーティストやクリエイターの方々と会話するときに共通言語があると物事がスムーズに進みますし、何より自分の頭の中にあるイメージをそのまま伝えることができるので効率的です。僕にとって音楽は趣味のひとつでしたが、今となってはやっていて良かったなあと思います。周囲を見ていても、音楽に限らず何かに夢中になった経験のある人は、その熱量含めて仕事に役立っている気がします

「いいよね」というひと言ですべてが報われる

2023年1月から放送開始した『お兄ちゃんはおしまい!』ではエンディングテーマ「ひめごと*クライシスターズ」のプロデュースを担当。 

渡部

P’s Recordsに着任してすぐに担当することになったのが、『お兄ちゃんはおしまい!』なんです。僕が担当させてもらったエンディングテーマはキャラソンということもあり、原作ファンのみなさんはもちろん、アニメから入ってくださる方々に喜んでいただけることを目指しました。キャラソンって本当に奥深くて……。

一歩間違えたら作品の世界観やキャラクターのイメージを壊しかねないので、当時は暇さえあれば原作を読み、楽曲のデモを聴いて、とにかく作品やキャラクターと向き合いながら楽曲の方向性を決めていきました。リリースにあたっては、キャラ別の歌詞やソロver.の収録など僕自身がリスナーのときに嬉しかった要素をすべて詰め込んでいます。

ちなみに、エンディングテーマの作詞・作曲を担当していただいたおぐら あすかさんは、僕が大学生のとき観ていたアニメの主題歌を手がけられていた方で。監督と曲の打ち合わせをしているときにパッと頭に浮かび、すぐさまオファーしました。とても素晴らしい楽曲になりましたので、ぜひ聴いてほしいんです

関わる人々が想いを込めて生み出すアニメ音楽。それらをヒットさせるべく日々尽力する渡部がもっともやりがいを感じるのはどんな瞬間なのでしょうか。 

渡部

お客さんたちが喜んでくださっている光景を目にするとやりがいを感じます。 以前、たまたま寄ったコンビニで、僕の担当作品について高校生たちが熱く語り合っている場面に遭遇しまして。そのときは、会話に参加したくなるくらい嬉しくなってしまいました(笑)。なんだか昔の自分を見ているような気持ちになって。頑張って良かったなと思いました 

「作品ごと、プロジェクトごとに毎回新しい発見があって、それがすごく楽しい」と笑顔を見せる渡部。この先に向けてどんな夢を思い描いているのでしょうか。 

渡部

自分発信の企画でヒット作を出したいと思っています。今回、取材のお話をいただいてから自分なりに5年間の会社員生活を振り返ってみたのですが、営業、販促、制作と本当にいろいろな経験をさせてもらっているなあとあらためて感じました。現在取り組んでいるお仕事もやり甲斐があり、楽しいものばかりですが、これまでの経験を活かした自分発信の企画でヒットを出したいです!

心躍る作品制作と、そのヒットを目指して。渡部のチャレンジは続きます。

■番組情報 『お兄ちゃんはおしまい!』

■配信情報 <OPテーマ>「アイデン貞貞メルトダウン」https://lnk.to/IdenTeiTei_Meltdown

※記事の部署名等はインタビュー当時のものとなります。
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