夢ある物語をより多くの人へ アニメを愛するプロモーターの発想と挑戦

夢ある物語をより多くの人へ アニメを愛するプロモーターの発想と挑戦

ポニーキャニオン アニメプロデュース3部で、アニメ作品や声優アーティストの宣伝を担当する北川 温子。アニメ『ダイヤのA actⅡ』『オッドタクシー』『怪盗クイーンはサーカスがお好き』など数々の話題作にプロモーターとして関わってきた彼女が語る、仕事の醍醐味とは──。

アイデアの種となる情報収拾は日々欠かさない

▲アニメ・映像事業本部アニメプロデュース3部プランニンググループ・北川 温子。アニメ作品のプロモーターとしての日々はオンオフ共に充実している
▲アニメ・映像事業本部アニメプロデュース3部プランニンググループ・北川 温子。アニメ作品のプロモーターとしての日々はオンオフ共に充実している

映画化や舞台化もされ熱狂的なファンが続出の『オッドタクシー』や、野球漫画を原作とした『ダイヤのA actⅡ』、パラパラ×ホストという斬新設定で話題を呼んだ『パラホス』、「青い鳥文庫」の名作を劇場アニメ化した『怪盗クイーンはサーカスがお好き』など、数々のヒット作や声優アーティストにプロモーターとして関わる北川 温子。彼女は、どんな日常を送っているのでしょうか。

北川

作品やアーティストに対してどんな宣伝をしていくかのプランニングをしたり、取材をセッティングするために各媒体とやり取りをしたり、TwitterやYouTube、InstagramやTikTokといったSNS公式アカウントで情報発信をしたり、作品やアーティストの公式サイトの更新をしたり、さまざまなプロジェクトを同時進行で受け持ってイベントや生配信も行う、というのが宣伝の仕事です。

ネットでの情報収集が欠かせないので、常にスマホを見ていますね。あと、バラエティ番組やCMの作り方から学ぶことも多いので、家にいるときはテレビをつけっぱなしにしていています。その時々の流行りや、そこからヒントを得たりするためにも、アンテナは常に広く張っておくようにしています

仕事とプライベートの境目が曖昧になりそうですが、好奇心旺盛な北川はさまざまな場面での発見や閃きを自然と仕事に結びつけて、それを楽しんでいるようです。

北川

確かにオンとオフの切り替えがなかなか難しい仕事ではあると思うんですが、それが苦ではないというか。これっておもしろそうだな、こうしたらもっと楽しくできそうだな、ということを常に探してしまう自分に、宣伝の仕事は向いているんだと思います。

あと、私の所属する部署はお酒好きが多くて、コロナ禍の前にはよく一緒に飲みに行ったり、休みの日にはタコ焼きパーティーをしたりして(笑)。みんな本当に仲が良いし、宣伝チームメンバーだけではなく、制作チームと仕事をするにしても風通しが良くて言えないことがないんです。忙しい毎日ではありますけどありがたい環境で毎日楽しく仕事ができています

大事なのは作品愛とファン目線

▲モットーは「愛のある宣伝」。コロナ禍も、あらためて仕事を見つめるきっかけになった
▲モットーは「愛のある宣伝」。コロナ禍も、あらためて仕事を見つめるきっかけになった

北川にとってポニーキャニオンは3社目。大学卒業後、最初に入社したのはグッズ制作会社でした。

北川

幼いころから本や漫画を読むのが好きで、アニメや映画、舞台や歌舞伎なんかもたくさん観るようになり“ストーリーのあるもの”に惹かれて大学で日本文学を学びました。就職活動のときには出版社を志望したものの、ご縁をいただいたのがライブグッズやアニメグッズ、アパレルのノベルティグッズを作るグッズ制作会社だったんです。

その仕事をしていくうちに、そこまで詳しくなかったアニメ業界への興味、もっとアニメに特化したグッズの企画・制作に携わりたいという気持ちが強まってアニメグッズ専門の会社に転職しました

北川の人生を変えたアニメ。彼女はアニメの魅力をどうとらえているのでしょうか。

北川

音楽がベースの漫画を原作とした某アニメ作品を観たときに、音楽や声優さんのお芝居、カラフルでキラキラした映像にすごく感動したんです。アニメだから描ける世界があるし、原作がある場合は音や映像でより鮮明に伝えることができる。それがアニメならではの魅力、強みだと思います

アニメグッズ専門の会社では、雑貨のほか、パンフレット制作なども担当。作品にていねいに向き合い掘り下げるという経験は、現在の宣伝の仕事にもいかされている、と北川は言います。

北川

『パラホス』では、制作チームからアイデアをもらって、EPの“きゃにめ盤”にシャンパングラスを特典にしました。『怪盗クイーンはサーカスがお好き』公開時には入場者に原作者書き下ろしショートストーリーブックを配布したり、Blu-ray&DVDの一般発売時には抽選でバラをプレゼントしたり、フレグランスやキャラクターのスリッパ、主人公・クイーンの迷言をまとめた日めくり卓上カレンダーといったグッズを作ったりもしました。作品それぞれ、ファンの方たちがどういうところを楽しんでいて、どういうものが商品化されたら嬉しいかな、という視点で考えた結果です。

『パラホス』のCD発売キャンペーンではキャストとの乾杯オンライン会を、『オッドタクシー』ではイベントの多くをオンラインで開催。コロナ禍でリアルイベントがなかなか開催できないときも、ファンの方たちにどうやって喜んでいただけるか、ということを第一にいろいろ試行錯誤しました

作品そのものはもちろん、ファンのニーズも理解して汲み取る。北川は「愛のある宣伝」を心がけています。

コロナ禍で訪れた転機

▲本社3Fの配信ルームにて。いつもの仕事のように、とリクエストすると「カンペ持ちましょうか?」とその場でサッと書いて自らポーズをとってくれた
▲本社3Fの配信ルームにて。いつもの仕事のように、とリクエストすると「カンペ持ちましょうか?」とその場でサッと書いて自らポーズをとってくれた

『オッドタクシー』では、テレビ放送に合わせ公式YouTubeチャンネルにてオーディオドラマも配信。本編では詳しく描かれていなかった裏ストーリーが明かされ、ファンの考察がますます盛り上がりました。

北川

オーディオドラマがあることで、視聴者の方々に本編をよりいっそう楽しんでいただけたようです。ただ、作品やアーティストに関わるからには、ただの作品のファンではいけないな、と常々思っています。

作品やアーティストの良いところを伝えるのは大事ですけど、それぞれの伸びしろも冷静にとらえて、ただ自分が観たいもの、好きなものを押しつけるだけにはならないようにということは、企画時もさることながら、SNSの更新をするときにも気をつけています

作品愛は持ちつつ、決してひとりよがりにはならないように。「アーティストや声優、制作スタッフのみなさんが心血を注いで生み出した作品や楽曲の魅力を、より多くの人に届けるのが宣伝の仕事」という信念を持って仕事に臨む北川ですが、当初は戸惑うこともありました。

北川

縁あってポニーキャニオンに入社することになったんですが、それまで宣伝を自分がすることになるとは思ってもみなくて。たとえば視聴者の方に観ていただきやすい時間帯に合わせ夜にYouTube生配信をする場合、それに向けてタイムスケジュールを組み、台本の準備、これは作家さんにお願いする場合と自分で起こす場合もあり、配信の当日は出演者の飲み物などを用意したり、生配信中にカンペを出したり。宣伝ってこんなになんでもするんだ、と驚きました。

SNSの運用も、誤字がないか、内容に問題はないか。最初は公式Twitterを更新するのが怖かったです。アニメ作品や声優アーティストはファンの方たちがもちろん熱力高く応援してくださるので、宣伝する私たちもみなさんを絶対に裏切ってはいけない、ということは今も肝に銘じています

2023年で、ポニーキャニオン入社5年目を迎えた北川。大きな転機はコロナ禍に訪れました。

北川

2018年秋に入社してからとにかくがむしゃらに突き進んでいたんですけど、コロナ禍でリアルイベントが軒並み開催できなくなり、出社せずにリモートワークをすることが多くなりました。それまで自分がやってきたことを踏まえ、今後どんな宣伝ができるだろう、どんな宣伝をするべきなんだろう、ということを考える時間ができたんです。そこで、ものの見方が少し変わったというか。

たとえばSNSやテレビを観るにしても、そういう仕掛け方があるんだ、こういうアイデアっておもしろいな、と。なぜ話題になるのか、なぜ流行っているのか、その理由を考えるようになり、自分がSNSの投稿ひとつするにしてもその意味をよく考えて、宣伝にまつわる動きに無駄がなくなったような気がします

災い転じて福となす。思わぬ困難に見舞われても考え方ひとつでそこに希望を見出すことができるのです。

“楽しい”を求める人々の期待に応えたい

▲“ブランド創造プロジェクト”のエクスターナルブランディングチームでは、キャリア採用という外からの目線も忘れずに会社のブランディングを考えている
▲“ブランド創造プロジェクト”のエクスターナルブランディングチームでは、キャリア採用という外からの目線も忘れずに会社のブランディングを考えている

ほかにもコロナ禍で得た気づきがありました。

北川

音楽や映画やアニメといったエンタメが多くの人の心の支え、勉強や仕事を頑張る原動力になっていたんだな、ということがコロナ禍の自粛期間やおうち時間で可視化されたと思うんです。エンタメは人生を彩り豊かにしてくれるもの。自分が関わる作品が誰かの喜びにつながっている、というのは大きなやりがいです。

もちろん、ときには成功しないこともあります。自分が練った施策に予想よりリアクションしていただけなかったり、たくさん広告を出して発信しても思いの外数字が伸びなかったり。でもそこには学びがあるので。

この先も、予想外のことが起きたり、流行が目まぐるしく変わっていったりすると思います。エンタメ業界の一員、宣伝をする者としては、制作に関わるすべての方、ファンのみなさんへの感謝を忘れずに、作品やアーティストに少しでもプラスになるような、“楽しい”を求める人々の期待に応えられるような仕事をしていきたいな、と、あらためて思っています

また、北川はポニーキャニオンが掲げる中期経営計画『VISION2030』の“ブランド創造プロジェクト”メンバーでもあります。

北川

デジタル戦略、業務改革、海外事業開発、SDGs戦略、そしてブランド創造という5つの柱で課題に取り組んでいく、ポニーキャニオンの中期経営計画『VISION2030』。ブランド創造プロジェクトは、消費者やクリエイター、取引先、求職者といった社外へ向けてのエクスターナルブランディング、社内に向けたインターナルブランディング、ホームページリニューアルの3チームで構成されているのですが、私はエクスターナルブランディングのメンバーとして参加することになりました。

会社を知っていただくための活動、そこには作品やアーティストの宣伝に通ずるものがあるし、より大きな規模で取り組めるという新鮮さにはワクワク感もありました。キャリア採用ならではの、外から見たポニーキャニオンのよさも伸びしろもわかっているつもりですし、そういう部分も含めて、総合エンタメ企業としての価値や魅力を知っていただけるような活動をしていきます

この先5年後、10年後。どんな自分になっていたい、と北川は考えているのでしょうか。

北川

訴求力のある宣伝担当でいたい、ということが第一ですね。5年目にして少し余裕も出てきたので、課題に取り組んでいく問題解決できる社員でありたい、と思います。みなさんの喜ぶ顔が見られるように頑張っていきます

思慮深く、前向きに。北川は作品やアーティストの魅力を伝える道を究めていきます。

※北川が宣伝を務めた『怪盗クイーンはサーカスがお好き』劇場アニメ化の裏側インタビュー(外部リンク)

「青い鳥文庫」の名作『怪盗クイーンはサーカスがお好き』劇場アニメ化の裏側!愛読していたスタッフの夢が現実になった軌跡!!

 

※記事の部署名等はインタビュー当時のものとなります。
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