アーティストをより大きく羽ばたかせるきっかけに 音楽配信サイトは可能性の宝庫
日本が誇るポップカルチャー、アニメ。さまざまな作品を声で彩る一方、歌手活動を行う声優アーティストも国内外で人気です。デジタルマーケティング部・宮治 舞が携わるのはアニメや声優アーティストの音楽配信業務。音楽の鑑賞スタイルの主流となりつつあるデジタル配信でいかにユーザーに届けるか、その日々に迫ります。
原動力は、人を楽しませたい!という真っ直ぐな想い
ここ数年で、急速に拡大している音楽配信市場。ポニーキャニオンもまた、デジタルマーケティングに力を入れています。そしてそのホープがマーケティングクリエイティブ本部デジタルマーケティング部の宮治 舞です。
宮治
小さい頃から漫画やアニメが大好きでした。ダンスなども習っていたので音楽と触れ合う機会も多く、自分の近くにはいつもエンタメが溢れていました。いつかは自分も人の気持ちを動かす何かに関わる仕事がしたい、ということを自然と考えるようになりました
そして自分にも“人を笑顔にすること”や“人を楽しませること”ができるんだ、ということを知ったのは高校時代のことでした。
宮治
高校ではチアリーディング部に所属していました。チームメイトと力を合わせ励まし合いながら、どんなときでも笑顔を忘れないで全力で踊ることを心がけていると、そんな私たちの姿を観て元気になってくれる人がいる。チアリーディングを通して知った喜びがエンターテインメントに関わる道に進みたい、と漠然と思っていた自分の背中を押してくれたように思います
大学では映像制作のゼミに所属。実在するテレビ番組のクオリティーを再現するという挑戦を通して、自分がどんな職に就きたいのか、というヴィジョンがより明確になっていきました。
宮治
チームで作業をするにあたっては、自分の考えやイメージを言葉にして伝えないといけないし、お互いの意見を尊重して歩み寄って、時には異論も唱えないといけない。そういう難しさも感じながら一丸となってひとつの作品を作り上げて多くの人に届けることの楽しさを味わうことができました。映像制作ゼミでの学びは私にとって大事な宝物です。
“人を楽しませる”ことができる仕事に就きたくていざ就職活動を始めてみると……正直言って簡単にはいくものではなくて(苦笑)。でも、どんな結果になったとしてもやらないで後悔するよりはいい、やってみよう、と思い就活に向き合いました
そんな熱意が通じ見事採用試験に合格、2018年にポニーキャニオンに入社した宮治。学生時代、週に数回のアルバイトをした経験はありましたが社会人として働くことの大変さを思い知ったと言います。しかもアニメに携わることができたら、と願っていた彼女が配属されたのはデジタルマーケティングの部署でした。
宮治
漫画やアニメが好きなので正直に言うと第一志望はアニメ部署だったんです。文系人間なのでいきなり飛び込んだマーケティングの部署でどのように数字に向き合って結果を出していけばいいのか、最初は本当に戸惑うことばかりでした
瞬発力に加え、継続的な仕掛けが功を奏する配信サイト
「恥ずかしながら自分自身は配信にあまり触れたことがなくCDやDVDなどのパッケージ派だったので、サブスクって何?というところから始まりました」と入社当時を振り返る宮治。先輩にゼロから教えてもらいながら勉強する日々。すると配信ならではの特徴が見えてきました。
宮治
パッケージだと、洋楽好きだったら洋楽を、J-POP好きだったらJ-POPを、アニソン好きだったらアニソンを主に聴くことになると思うんですね。でもサブスクで音楽を聴くようになると自分が好きなジャンルだけでなく、ほかのジャンルの音楽やCMで耳にした曲、アニメやドラマや映画の主題歌で気になった曲にも気軽に触れることができる。
いくらでも音楽が聴けてプレイリストで知らなかったアーティストと出会うこともできます。音楽の楽しみの幅がとてつもなく広がるんです
入社以来、マーケティング本部にてApple MusicやLINE MUSICなど配信サイトへの営業活動もしてきたが、現在携わっているのはアニメ部署の全音楽作品の配信プランニング。目まぐるしく流行が移り変わり進化のスピードも速い配信の世界で宮治はどんなことを肌で感じているのでしょうか。
宮治
アニメ主題歌やキャラソンをはじめ、内田真礼やDIALOGUE+など声優アーティストのリリース作品の配信プランを考えるのが私の仕事です。制作チームと一緒にリリースの2~3ヶ月前から打ち合わせを重ねて、リリース日はもちろん、その後も話題になるポイントを作れるよう長期的な目線でプランニングしています。
各音楽配信サイトでバナー展開やプレイリストに入れ込みができたら、それはまず大きな一歩なんですけど、次にそこから継続的にどれだけ多くの人に楽曲を聴いてもらうかということを考えないといけません。例えば、ライブ後にセトリプレイリスト(セットリストのプレイリスト)を公開したり、ユーザーからプレイリスト募集をして、選ばれたプレイリストをアーティストのボイスメッセージ付きで期間限定で公開したこともあります。すぐには結果が出なくても地道に配信施策を実施していくことが大事なんだな、と実感しています
声優アーティストの武器である“声”を活かすアイディア
もともと大好きだったアニメに仕事で関わることになった宮治。「アニメや声優アーティストの魅力を配信でいかに伝えるか、それを考える仕事はやりがいがあります」と笑顔を見せます。
宮治
いちファンとして応援していた人たちと仕事で関わる今、これってすごいことだな、何年か前の自分が見たらびっくりするな、とふとした瞬間に思うこともあります(笑)。施策に関してのアイディアを得るために仕事で関わるアーティストのライブに足を運ぶこともあるんですけど、そういう時間は自分にとって息抜きにもなっているんです。
パッケージで作品を楽しむ方々も多いですが、アニメ/声優ファンの方々が配信にも魅力を感じてもらえるような仕掛けを考えるのも私の仕事です。例えば、音にこだわって聴く方も多いので高音質のハイレゾ音源を用意したり、声優の一番の武器である“声”が際立つボイス特典を付けたり。まるで耳元でささやいているような臨場感を味わえるバイノーラル録音の“耳元ボイス”特典は好評をいただいています
ファンが楽しめる施策案を考えるために、情報収集やインプットも怠りません。
宮治
毎クール、テレビ放送されるアニメは観るようにしていてそれぞれの主題歌がどんなふうに配信の展開をされているのかもチェックするようにしています。
配信市場は自分が仕事で関わるようになってからの約3年間だけでも目まぐるしく移り変わっていてサービス機能も向上しているんですよね。例えばSpotifyだったら音楽再生中にループ映像が流れる機能があるので、どんな映像をはめ込んだらいいかユーザーにアンケートをとって一緒に盛り上げていく施策もできるようになったり。そうしたユーザー参加型の企画を含め音楽配信でできる施策がどんどん増えているなと感じます
しかしコロナ禍で配信需要がますます高まる一方、思わぬアクシデントもありました。
宮治
コロナの影響で、発売延期になっていた作品の配信日が同時期に集中したんです。各アーティストに合わせた施策を考えて配信開始まではもちろん、継続的にどうやって多くの人に聴いてもらうかという道筋を考えないといけないのですが、配信日が重なって時間との戦いとなりだいぶ頭を悩ませました。先輩に助けてもらいながら “絶対できる”精神で乗り越えました。好きなことだから頑張れるのかもしれません
一方で思いがけない経験も。2021年1月から音楽配信を通して新世代アーティストを発掘・応援するPR型デジタルディストリビューションサービス『early Reflection』(https://earlyreflection.com/)がスタート。プロジェクトの一貫である情報バラエティラジオ番組『early Reflection radio』にて、メインパーソナリティであるDIGLE MAGAGINE編集長の江藤勇也氏と共に番組パーソナリティーを務めることになりました。
宮治
まさか自分が番組のパーソナリティーとしてアーティストにインタビューすることになるとは思いもしませんでした。主に江藤さんが進行してくださって、私はそんなにお役に立てていたかどうかはわからないですけど、直接アーティストの生の声や制作秘話を聞く機会はなかなかないので。約半年間、10回の収録を通して貴重な体験ができました
※early Reflection radio ⇒ https://anchor.fm/early-reflection
蒔いた種がいつか芽吹くその日のために挑戦し続ける
コロナ禍においてコンテンツのデジタル配信の需要がよりいっそう高まっている今。音楽配信市場はまだまだ多くの可能性を秘めていると宮治は言います。
宮治
今はまだ、アーティストや作品のファンの方々に対してどう音楽配信で楽しんで聴いてもらうかを考えることが多いのですが、最近はTikTokはじめSNSをきっかけに本来興味をもっていなかったジャンルの音楽作品に触れてもらえるチャンスがあるので、デジタルプロモーションを上手く仕掛けられたら国内外問わず多くの人に広まっていく可能性があります
音楽、映像、アニメなど、扱うコンテンツの豊富さ、幅広さを誇るポニーキャニオン。近頃では、音楽部署、映像部署、アニメ部署が連携して情報共有をし戦略を立てることで相乗効果も生まれているのだとか。
宮治
声優アーティストで効果の高かった施策がほかのジャンルのアーティストにもあてはまるかもしれないし、その逆もまた然りなんですよね。部署の垣根を越えて所属アーティストや手がけるコンテンツを盛り上げていこう、というムードがあります
入社4年目。「まだまだ勉強しないといけないです」と謙虚な宮治ですが、ここまでの経験は確実に彼女を成長させてくれています。
宮治
マーケティング部署に所属する社員として当たり前のことではあるんですけど、売り上げやSNSのエンゲージメントなど【数字を追う】ということを意識するようになりました。すぐに結果が出なかったり目標数値になかなか届かなかったりすると、この施策でよかったのかな、という迷いが生じたり申し訳ない気持ちになったりもします。次に新たな施策を打つにしても成功事例がないと説得力に欠けてしまいます。
でも、社を挙げて配信業務に力を入れている今、まずはやってみよう、もし思うようにいかなくてもその経験を次に活かせばいいよ、というポジティブな空気があるおかげでチャレンジがしやすいんです
忙しくも、充実した日々。その視線の先には夢があります。
宮治
配信施策の経験を重ねマーケティングの知識を増やし、いつかはアーティストプロモーションを担当して邦楽ジャンルと勝負できる声優アーティストを育てたいです。日々学んで吸収していつまでも挑戦心を持ち続けていたいです
人々のライフスタイルや価値観が変化しても、コロナ禍のような未曾有の事態に陥っても、宮治のように愛と情熱を持った人がユーザーへの橋渡し役を担うのならばエンターテインメントは人々の心を明るく照らし続けるはずです。
※記事の部署名等はインタビュー当時のものとなります。
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